
カタカタ、カタカタッ…
「ふう…今日はさすがにお金使い過ぎちゃったなぁ…。まぁいっか、楽しい時間を
過ごせたんだし、たまにはこーゆーのもありってことで。」
エクセルで家計簿を付け終えると、バスタオル一枚きりの少女はそのまま手早く
ウインドウズを終了させ、パソコンチェアーからすぐ横にあるセミダブルのベッドへと
腰掛けなおした。ベッドのスプリングがきしむのに合わせ、先に布団の中で
寝そべっていた男は、眺めていた週刊誌をベッドラックに置く。
「へへへ、さすがにウチの大蔵大臣様は寛大でいらっしゃるっ!」
「…あんたもマンガばかり書いてないで、少しは新聞とかニュースも見なさいよっ。
今は大蔵大臣じゃなくって、財務大臣っ!」
「うっ、うるせえなっ!それくらい知ってるよっ!今のはクセだ、クセッ!」
「どうだか?」
たわいもないおしゃべりを交わしつつ、男は少女のために布団をはぐり、彼女を
ベッドへと誘う。男もまたバスタオル一枚の姿であり、たくましい上体は晒したままだ。
少女は左手を首の後ろにやると、その手で美しい髪を集めてから彼の側に潜り込んだ。
そっと寄り添い、枕を共にしてから…男はあらためて布団をかける。包み込まれた
ぬくもりが心地良いらしく、少女はうっとりと目を細めて自分の髪を指先でクルクル
もてあそんだりしている。シャワーで濡れた髪は寄り集まり、ひんやりとしていて
指に優しい。
少女は高瀬瑞希。普段はその長い髪をサイドポニーテールに結わえているのだが、
さすがに就寝前ということもあって、そのチャームポイントは下ろしてしまっている。
一見すると別人のようではあるが、健康美に満ちた笑顔に翳りが生ずるということはない。
男は千堂和樹。大手と称されるほどのサークルを主催している同人作家だ。
精悍な顔つきと端正な体つきは、彼の可愛らしい絵柄と作風からは想像が困難であろう。
実際、恋人である瑞希に売り子を手伝ってもらうと、たいていの参加者は彼女が
男性名で同人活動をしているのだと思い込むことが多い。正体を知った男性は
一様にたじろぎ、女性は一様に目を輝かせるのだから面白いものだ。
それでも、今日の二人は同人活動を離れ…普通の恋人としての時間を心ゆくまで
堪能してきた。
午前中は瑞希の大好きなテニスで気持ちのいい汗を流し、ファーストフードで
簡単に昼食を済ませてからウインドウショッピングをしばし。その後で映画を
観て、ワインなんかを楽しみながらゆったりと夕食。
先程も瑞希は嘆いてみせたが、今日のデートで家計は予想以上の出費を強いられた。
同人活動であればさほど気にすることなく画材を買ったり、コスプレの材料を買ったり
しているのだが…いざそんな嘆きが出てくるということは、よほど二人が恋人らしい
コミュニケーションを怠っていることのいい証拠だろう。
「いっぱいお金使っちゃったけど、今日は楽しかった。誘ってくれてありがと、和樹…」
「なに言ってんだよ。こっちこそ急に誘ったのに、OKしてくれてサンキューな。」
スタンドの薄明かりの下、二人は軽く鼻先を触れ合わせたままでそう謝辞を交わす。
ふとしたきっかけと衝動で、何の予定も立てぬままのデートであったが…二人とも
十二分に満足していた。恋人と二人きりで遊びにでかけることの歓びを再認識し、
胸はもうお互いへの愛しさでいっぱいだ。
「…今日のテニスも疲れたけど、はしゃいだ瑞希が見られてよかったよ。たまには
外に出るのも悪くねえな。」
「えへへ、よかった…。だったらお昼にも言ったけど、最低でも月に一回はテニスに
付き合ってよね?約束守ってよ?」
「わかってるって…お前ってすぐ泣くヤツだからなぁ…」
「ま、またその話ぃ…」
目を細めての和樹の揶揄に、瑞希は頬を染めながら少しだけ口許をとがらせた。
やはりからかわれては面白くないようで、やや伏し目がちとなって和樹の視線から
逃れてしまう。
これというのも、夕食前に観てきた映画のせいであった。
その映画は、ある青年医師が主人公の物語であるのだが…内容は省略する。
「だってお前、泣いてばっかりだったじゃん。好きな男でっちあげられるお祭りの
シーンで泣くわ、無人島の館のシーンでも泣くわ…特にアイツが屋上で泣くトコ
なんかぐずぐず言いながら泣いてたくせにっ!」
「べっ、別にいいじゃないっ!泣くのがそんなに悪いっ!?」
「…ううん。ああゆうシーンで素直に泣ける瑞希って、オレは大好きだぜ?」
「あっ…すぐ、そんな風に言って…」
「大好きだから…映画観てるあいだ、ずうっと手ぇつないでたんだけどな…?」
すっ…
そう言うなり、和樹は布団の中で右手を這わせ…瑞希の左手を見つけ出して、
指を絡めるようにしてつながった。俗にいうエッチつなぎであるが、瑞希も驚いた
のは一瞬だけであり、しおらしく指を絡めてひとつになってくる。お互い、手の平が
孕んでいる熱に胸の高揚を抑えきれない。
「か、和樹…」
「瑞希…久々の二人きり、もっともっと楽しもうぜ?」
「あ、やっ…」
するっ…
瑞希のささやかな抵抗を聞き流し、和樹は左手の人差し指で彼女の裸身を覆って
いるバスタオルの合わせ目を解いた。エッチつなぎしていた右手も一旦離し、恋人の
身体を撫でるようにして彼女の背後へとバスタオルを追いやってしまう。
これで瑞希は布団の中で、一糸纏わぬ全裸体となった。ふくよかな乳房も、程良く
くびれたウエストも、充実したまろみを帯びているヒップも…なにもかも和樹が
すぐ触れられるようにされてしまう。
「う…か、かずき…」
「固くなるなよ…エッチはデートより慣れてるはずだろ…?」
「そうだけど…今日はずうっと、あんたと一緒にいたから…なんだかドキドキして…
ちょっと、照れくさい感じ…」
無防備を極めた格好の瑞希は、愛しい和樹の前でありながらも物怖じするかの
ようにその身を強張らせた。ついさっきまで固くつながっていた左手も、今は
恥じらいで股間を覆い隠している。
和樹の言うように、確かにここ最近はデートよりもセックスの回数の方が多い。
二人の同棲生活に降りかかった奇妙な事情もあり、ついつい毎晩のように身体を
重ねてきたことは紛れもない事実だ。
しかしそれは戯れ半分でのセックスであり…実際にここまで愛しさを募らせた
うえで身体を求め合うのは久しぶりであった。そのぶん、初々しいほどの恥じらいが
瑞希の内に湧き出てくるのである。
裸を見られているわけでもないのに、ただ同じ布団の中にいることだけでも
照れくさくてならない。すぐ側に和樹の息遣いを感じるだけで、なんだかのぼせて
しまいそうなくらいに頭がぼおっとしてきた。そのため呼吸も少しずつ高ぶり、
はふ、はふ、と小刻みに忙しなくなってゆく。
「…瑞希っ、もっとこっち来いよ。」
「あっ…ちょ、恥ずかしいよ…」
「もっと胸、くっつけろって…そうそう、すがりついて…ほら、ぴったり。」
「あん…かずき…」
突然背中を抱き寄せられ、瑞希は思わずかぶりを振ってむずがったのだが…
強引な力で抱き寄せられてしまうと、観念したかのようにうつむいてしまった。
そのまま二人の前髪が重なり、額がくっつく頃には…裸の胸どうしはぴったりと
密着してしまう。迫力すらある瑞希の乳房は二人の零距離で柔軟にたわみ、絶妙な
女性らしさを存分に醸し出して和樹の男心を挑発する。
ドキ、ドキ、ドキ、ドキ…
慣れ親しんだ瑞希の柔らかみではあるものの、和樹もやはり久々のデートを
済ませたために、胸は思春期のように高鳴ってくる。
愛しい恋人を抱きたい衝動は、彼を少しだけわがままにさせた。
「瑞希っ…」
「あっ…んんっ…」
ちゅっ…
背中を抱いていた右手でうつむいた顔を起こすと、和樹は自然な動作で瑞希の
唇を奪った。そのまま軽く小首を傾げるようにして、密着に角度を付けてゆく。
瑞々しい二人の唇がたわむと、その過敏な薄膜を介して愛しさが光の奔流で
あるかのように激しく行き交った。その思いがけない心地よさに、和樹も瑞希も
じっと目を伏せ、呼吸も止めて…無我夢中で悦に入る。
「んふぅ…んっ、んんんっ…」
感極まった瑞希がかわいい鼻息を漏らしたのは、二人の舌先が優しいスキンシップを
計ったときであった。
ぬみゅ、ぷちゅっ…ちゅ、くちゅ、ちゅっ…
にわかに発情期を迎えた二人の唇の中で、柔らかな舌どうしが先を欲張って
交尾にふける。ざらざらとした表側を擦り寄せながら絡まり、もつれ合うだけでも
お互いあごが震えるほどに心地良い。
それに合わせて、生ぬるい唾液もゆっくりと攪拌されてゆくのだが…男と女の
フェロモンが作用しあうこともあって、少しずつとろみがかってきた。夢中で
くねり、のたうつ舌もまるでシロップ漬けにされてしまったかのようだ。
「んっ、んんっ…ん…」
「んぅ、んんぅ…んむ、んっ…んくっ…」
枕に頭をもたげ、ゆったりと横臥したまま…和樹も瑞希も時間を忘れて甘露の
ごときディープキスを満喫する。ぴっちりと重なった唇は、時折モジモジ動いて
重ね具合を整えるのみで睦言のひとつも出て来ない。湿っぽくなりつつある寝室に
響くのは、変声期を迎える前のように初々しい二人の鼻声、それと口内に溜まって
きた甘ったるい唾液を嚥下する音だけだ。
ちゅ、むちゅ…ちゅぱ…れる、るっ…
「はぁ、はぁ、はぁ…」
「ふぅ、ふぅ、ふぅ…」
いかに恥じらって呼吸を止めていたとしても、興奮で鼓動を高鳴らす身体は
自ずと酸素を要求してくる。密やかな鼻息だけでは呼吸が持たなくなると、二人は
暗黙のタイミングで唇を離し、舌先でじゃれ合いつつ深呼吸を繰り返した。ほわ
ほわと互いの吐息が降りかかってはくるものの、目くるめくほどに舌を絡めた
口内では新鮮な外気がすこぶる涼やかに感じられる。
「瑞希…ほら、ばんざいして…オレの首に…そうそう…」
「んんぅ…あんまり変なことしないでよ…?」
「まだ変なことできるトコまで手が届かねえよっ…」
「ああん…バカ…んっ、んふっ…」
ちゅっ…ちゅっ、ちゅっ…さわさわ…こしょこしょっ…
過敏な薄膜を触れ合わせたままで和樹が促すと、瑞希は素直に両手を伸ばして
彼の首にすがりついた。そうする間にも瑞希の唇は焦れるらしく、ついばむように
して和樹にキスをねだってゆく。
そんな瑞希にますます愛おしさを募らせた和樹は、無防備となった姿勢に怯える
彼女をからかいつつ…うなじを押さえ込んでいた右手を翻し、すべらかな首筋を
指先でなぞった。瞬間、瑞希はかわいいさえずりを和樹に口移ししてしまう。
和樹の右手はひとしきり恋人の首筋にいたずらすると、やがてその攻撃範囲を
拡大すべく下降を始めた。
まずテニスで培われた筋肉を纏う肩に触れ、じっとりと汗ばむわきをなぞり…
そっと自分達の隙間に右手を忍ばせる。それはまさに一瞬の早業であり、瑞希の
乳房はすっぽりと掌に包み込まれることとなった。
もみゅっ…もみゅっ、もみゅっ、もみゅっ…
「んんっ…ぷぁ、あんっ…!あ、ふぁ…う…ううっ…」
「ふふっ…いいなぁ、瑞希の胸って…揉むたんびに感動しちまうっ…」
「そ、そんなに好き…?あたしのむね…」
「ああ、もう最高だよ…こんなに大っきいくせして、固すぎず、柔らかすぎず…
もう一晩中でも揉んでいたいくらいだ…」
見事な発育ぶりを示す女性の象徴に触れられて、瑞希はキスを中断してまで
声を震わせた。乳房も唇に負けないだけ、性感帯として過敏であるのだ。大きく
広げられた手の平で愛撫されては、キス以上に高ぶってしまうのは仕方のない
ことである。
恥じらいの中、怪訝そうに問いかける瑞希に和樹が答えたとおり…彼女の乳房は
絶妙なまでの揉み心地を秘めている。強くわしづかめば、まるで指の隙間から
溢れて逃げ出してしまいそうなほどに柔らかく…しかしアンダーバストから円を
描くように押しこねると、たちまちみっしりとした弾力が生まれてくるのだ。
おかげで揉んでも揉んでも…否、揉めば揉むほど右手は魅惑されたかのように
引き剥がせなくなってしまう。艶やかな柔肌が有する手触りの良さもあり、指先
から吸い付いてゆくようだ。
そして…和樹を魅惑してやまない理由はもうひとつ存在している。
もんみゅ、もんみゅ、もんみゅっ…きゅっ、きゅっ…
「あん、あん、あんっ…あ、やっ…!挟んじゃだめっ…!」
「瑞希って、ホントに感じやすいのな…乳首、ツンツンにしちゃって…」
「いっ、いちいち言わなくていいっ!そんなことっ…」
和樹は中指と薬指の間に導き入れていた乳首の変化を悟ると、指先を揃えるように
してその屹立を挟み込んだ。瑞希は穏やかに繰り返していたよがり声を鋭く弾ませ、
かぶりを振ってまでむずがる。
乳房の感度を如実に示す萌梅色の乳首も、和樹がすこぶるつきで気に入っている
ポイントだ。少しいじわるしただけで威嚇するようにしこるのだが、それに合わせて
慎ましやかな乳輪もふんわりと隆起する辺りは実に微笑ましい。
とはいえ瑞希本人にしてみれば、愛しい和樹に触れられたためとはいえ、過敏に
反応してしまう身体がたまらなく恥ずかしいのだ。同じ枕の上で報告などされては
羞恥もまたひとしおである。たちまちいてもたってもいられなくなり、瑞希は
真っ赤に火照った顔を枕にうずめてしまう。
「ありゃ?もうキスさせてくんないのかよ?」
「キスなんてできないわよぉ…こんな、恥ずかしいのに…」
「ふうん。じゃあ…他のトコにキスしてやるよっ。」
「あ、ちょっ…ううんっ…!!あ、やっ…だめ…跡、残さないで…」
ちゅっ…ちゅっ、ちゅっ…ちゅうっ…
あれだけ欲張りになっていた唇を隠されてしまい、やや拍子抜けの感も否めない
和樹であったが…ふと悪ガキ然とした笑みを浮かべるなり、瑞希の腕の中から
するりと頭を引き抜いてしまった。その意図に気付いた瑞希はすぐさま枕から
顔を上げたのだが、時すでに遅く…和樹は早速首筋から胸元へとキスの雨霰を
降らせてゆく。キスマークが残るのを怖れる瑞希はくすぐったさも相俟って、
たちまち抗う声を半ベソのものにしてしまう。
そんな哀願を聞き流しながら、和樹は瑞希の身体を仰向けにして…鎖骨から胸元に
かけてまんべんなくキスを乱射する。火照った肌にもわかるほど、ちらほらと赤い
花が咲いてしまうのは和樹の瑞希に対する愛欲の強さ故だ。
右へ行き、左へ行き…やがて乳房の谷間へと唇を進めていったところで、突然
瑞希は和樹の髪に指をうずめるようにして彼の抱擁を制止させた。
「だ、だめぇ…そこ、きっと汗くさい…!和樹、お願い…そこはイヤ…」
「…ホントだ、汗でびっちょり…。あせもになる前に舐め取ってやるよ。」
「ば、バカッ…!あっ、そんな…うっ、うふうんっ…!!」
ぺちゃ、ぺちょ、ぺちょ…ふみゅ、ふみゅっ…
瑞希の女心をあえて思いやることなく、和樹は彼女の乳房の谷間に顔をうずめて
谷底に舌を這わせる。大きく広げられた舌で谷底をなぞられるたびに、瑞希は
激しくかぶりを振ってよがった。こみ上げる情欲で熱く火照る身体は、もう背中が
シーツから浮き上がりかけている。
横から瑞希に寄りかかっている和樹は、露となって溜まっている汗を舐め取り、
谷底にぴっちりと唇を押し当ててから…そのどさくさに紛れて彼女の乳房を寄せ
上げた。両手にわしづかんだ乳房で繰り返し顔を挟み込ませては、そのぬくもりと
柔らかみを堪能する。ふんわりとした外圧は思わず笑みがこぼれるほどに素晴らしい。
「あああっ…すっげえ気持ちいいっ!さすがは96…余裕たっぷりだな…」
「そっ、そんなに無いっ!やめっ…もうやめなさいよっ!スケベッ!ヘンタイッ!」
「いてっ!こらっ、かっ、髪を引っ張るな!」
乳房の中ですっかりご満悦の和樹は、何気ないつもりでそんな戯れ言を口にした。
その途端に瑞希は憤慨したようになり、グイグイと和樹の髪を引っ張ってまで
彼にいたずらを中断させる。
和樹もこれにはたまらず、慌てて乳房の谷間から顔を上げたのだが…その視線の
先では、瑞希がすねたようにして瞳を潤ませていた。とはいえその潤みは恍惚が
もたらしたものではないようで、いじめられたことによる悔し涙のような危なっ
かしさが漂ってきている。
「もうっ…それされるの、恥ずかしいんだからねっ?あたし、自分の胸にコンプ
レックス持ってるんだから…知ってるくせに…」
そうつぶやくと、瑞希は両手で乳房を覆い隠し…唇を噛み締めて視線をそらした。
その深刻な雰囲気に和樹は言葉を失ってしまう。
確かに、瑞希は発育の良すぎる自身の乳房に劣等感を抱いている。スポーツを
するには邪魔だし、意味もなく肩がこるし、冬場は冷えるし…なにより夏場には
異性からの好奇の視線が集中してきて、それがたまらなく嫌だった。同性が聞いたら
嫉妬するかもしれないが、これはこれで胸の大きい女性には切実な悩みなのである。
和樹もその事情は瑞希自身から聞かされて、知っているはずだった。ただ今は
成り行き上、つい夢中になってしまったのだ。思春期のように欲張ってしまった
ことが、今さらながら悔やまれる。
「…悪い。知ってたはずなのに、調子に乗っちまって…。ちゃんと断ってから
するんだったよ。」
「そう言って、いつも忘れちゃうくせに…」
「わかったって、今度からはホントに気を付けるから…」
「あ、すぐまたそうやって誤魔化そうとする…ん…」
ちゅっ…
和樹は四つん這いで顔を近づけると、唇に精一杯の思いやりを込めながら瑞希に
口づけた。その想いは薄膜ごしに伝わったようで、非難の声をあげた瑞希も、
優しく唇をたわませてもらった後にはもうそれ以上責め立てようとはしなかった。
お互い長い付き合いなのだから、キスでならどれくらいでも意志の疎通が可能だ。
ゴメンの一言と、ささやかなキスで…どんなケンカも仲直りができる。
「…でも、触るくらいならいつでもオッケエってことにしといてくれよな?」
「いつでもってわけにはいかないわよ…こんなときだけ…」
「ああ、こんなときだけでいい…こんなときだけでいいから…瑞希…」
「あ…う、うん…」
小声でおしゃべりを交わしつつ、和樹はさりげなく瑞希の脚の間に腰を進み入れた。
驚いたように両手で股間を覆った瑞希であったが、すぐさま観念して立て膝の両脚を
大きく開き、彼のための場所を用意する。髪を引っ張ってまでわがままを通したのだ
から、今度は彼の望みを受け入れなければならないと思うのである。
それでも、和樹にはまだ瑞希とつながるつもりがなかった。ひとまず瑞希の脚の
間から腹ばいでのしかかると、シーツに両膝をついて背中を抱き…
ちゅっ…
「ああんっ!」
舌を差し入れながら、彼女のへそにそっと口づける。それだけで瑞希は腹筋を
引き締め、身震いしながら甲高く鳴いた。両手はきつくシーツをつかみ、もどか
しいような快感の責め苦に耐えようとする。
ちゅっ…ちゅぴ、ちゅっ、ちゅっ…ぺろっ、ぺろっ…ちゅぴ、ちゅぴ…
「ふぁあ…あんっ!あんっ!や、ふぁ…くふっ!うふんっ!」
和樹の舌先はへその穴をまさぐり、丁寧に掃除してくれるようであった。
とはいえその小刻みな刺激は愛撫以外のなにものでもない。瑞希はもはや為す術
なく背中を浮かし、かわいい声で何度も何度も悶え鳴いてしまう。のけぞるように
身じろぎすれば、丸まると実ったドーム型の乳房もたぽんたぽん弾んで回る。
「瑞希…そろそろ、こっちも…」
「はあ、はあ、はあ…うん…でも、濡れてきてるから恥ずかしい…」
「あれ?普段そんなこと言わないのに…どうしたんだよ?今日の瑞希、なんだか
はにかみ屋さんだねえ?」
「…はにかみ屋でもなんでもいいから、できるだけ見ないようにして…お願い…」
そう言いながらも、瑞希は和樹の求めに応じてゆっくりと両脚を…次いで腰を
浮かせ、M字開脚の体勢をとった。主人に媚びて腹を見せる子犬さながらに、
瑞希もあるがままを愛しい和樹にさらけ出してしまう。
菱形できれいに生え揃った濃いめの性毛も…
なだらかに隆起している、柔らかみでいっぱいの恥丘も…
発情の血潮で肥大し、少しだけはみ出て来ている濃桃肉も…
その合わせ目で小さく突出している女芯も、なにもかも…。
和樹は腹ばいのままで後ずさり、開脚を強いるよう太ももに両手をかけながら
瑞希の恥部を眺め回した。M字開脚に合わせて丸見えとなった瑞希の真央からは、
汗の匂いに混じって独特の女臭さがぷんぷんと立ちこめてくる。思春期の少年には
絶対に嗅がせられない危険に満ちた匂いだ。
そのすえたような雌臭さに思わず和樹もそそのかされ、シーツとへその隙間で
ペニスを固く固くいきり立たせてしまった。ちらりと視線を上げれば、そこには
火照る頬を両手で包み込んだ瑞希が気恥ずかしそうに様子を伺っている。。
…かわいい…コイツ、こんなにかわいかったっけ…?
今まで覚えていられないくらい身体を重ねてきているが、それでも和樹は初々しい
瑞希の姿にあてられ、沸々と愛欲をたぎらせてしまう。ひいき目ももちろんあろうが、
今夜のセックスは特別なものになるような気がしてならない。
ぷちゅっ…ちゅっ、ちゅっ…
「はぁんっ…!!あっ、いやっ…そんな、そんなぁ…は、恥ずかしいっ…!」
和樹は両手の親指で瑞希の秘裂を開き、奥の奥まで丸見えにしてから恥丘に
鼻先を押しつけ…女芯に口づけた。春の日差しのように身体中すみずみまで拡がる
暖かな快感と、今にも泣きだしてしまいそうなほどの羞恥に灼かれ、瑞希はつま先を
ピクピク奮わせて悶える。
ちゅっ、ちゅうっ…ちゅっ、ちゅっ…れる、れるっ…
「あんっ、あ、はぁあ…んっ、ひぅ…!そ、そこ…そこ好き…好きぃ…」
「すげえな…瑞希お前、今日はホントにどうしたんだよ。びちょびちょになってきて
るぜ…?もうなんか…白っぽくなってきてるし…」
普段以上の高ぶりを示している瑞希に気遣うことなく、和樹は唇と舌による
ねちっこい愛撫を重ねてゆく。否、愛欲のままに重ねてしまう、というのが正しい
だろう。ツン…と突出している女芯に口づけたまま、乳飲み子のようにむしゃ
ぶり付いては…何度も何度も口づけて、舌先で慰める。
そうこうしている間にも、瑞希がしとどに溢れさせる愛液はサラサラの無味無色
から、ぬめりけと酸味を増した淡い白濁へと変わってきた。これは瑞希の身体が
和樹との結合を切望してきた証である。見ようによっては、分泌過剰となった
フェロモンが愛液の中で濃縮されてきたふうに見えなくもない。
和樹もこの愛液を味わい、飲み込んでしまうと…まるで催淫効果でもあるかの
ように情欲が燃え上がってくる。勃起しきりのペニスはシーツに押しつけられた
まま、次第に熱い逸り水を先端から滲ませてきた。身じろぎするたびにヌルヌルと
ぬめるため、せつないほどの射精欲がペニスの根本奥深くで渦巻いてくる。
そんな和樹よりも、やはり愛撫を施されている瑞希の方が痴態は激しい。
日頃からスポーツを嗜んでいるため、活性化されている瑞希の身体は比較的
感度が高い。それは性感においても同様であり、とりわけクリトリスは一番刺激を
受けやすく、ある意味デリケートな性感帯である。
それでいながら、こうして薄皮をめくってもらって愛撫してもらうのがお気に
入りであるのだからなんとも欲張りなものだ。和樹に口づけられ、舌先で押し
転がされるだけでも絶頂に達してしまいそうである。まぶたの端からは、早くも
感涙が一粒こめかみへと伝い落ちていたりする。
ちゅぷ、ちゅっ…れるっ、れるっ…ぬちゅ、ぷちゅっ…
その舌の動きはさらにエスカレートし、微かに処女膜の名残を見せる膣口へと
進行していった。和樹は儚げな粘膜の縁取りを優しく舌先で愛でながら、ぷっちゅりと
キスして愛液をすすり…そのままディープキスよろしく舌を挿入してゆく。
「だ、だめっ!舌入れちゃだめぇ…!!そんな、広げられてるのに…だ、だめって
言ってるっ…そんな、やっ、あ、浅いとこぉ…!!」
ぐり、ぐり、ぐり、と尖らせた舌先で入り口付近の襞に挨拶すると、瑞希は
オタオタとつま先で虚空を掻きながらよがり鳴いた。無我夢中のさえずりにあわせ、
ぬめる華筒は柔軟にくねって和樹の舌を締め付ける。身体が舌を来るべきものと
錯覚しているのだ。
待ち焦がれている快感の訪れに、性に関しては慎ましやかな瑞希も声を上擦らせ、
ポロポロ感涙をこぼして身悶えするが…それでもまだ和樹は彼女を解放しようと
しない。真っ直ぐに舌を往復させて、瑞希が本当に堪えきれなくなる瞬間を待ち
続ける。
ぬちゅっ…ぬちゅっ…ぬちゅっ…ぬみっ、ぬみっ…
「みずき…ぷぁ、みずきっ…んんっ…」
「か、かずき、待って!待ってぇ…!ちゃんと欲しい、ちゃんとぉ…!」
「ん…?ちゃんとほしい?したくなってきた…?」
「…うん…したい…かずきと、エッチしたい…!」
そして…ついにその瞬間は訪れた。瑞希の美徳は愛欲にねじ伏せられてしまった
のだ。瑞希は和樹のわざとらしい問いかけにも、きゅっと目をつむったまま確かな
口調でそう願う。羞恥に満ちた表情はすっかり泣きベソだ。
「よぉし、じゃあ…しようぜ?」
「うん…」
「いっぱい…いっぱいしような…朝までだって…」
「うん、うんっ…ん…」
和樹はあらためて身を起こすと、仰向けの瑞希の上で四つん這いとなり、小さく
キスして愛撫の余韻をなだめた。瑞希も素直に応じ、そのまま和樹の背中に両手を
回して強く抱き寄せる。
それに逆らうことなく、和樹がシーツに両肘を突き、瑞希に寄りかかるように
腹ばいになると…愛欲に満ちて怒張したペニスが、ふみゅっと彼女の恥丘を押圧した。
固い性毛どうしがチクチクと触れ合ってくすぐったい。
「…ヤケに積極的だねぇ…ゴム着けるまで待てないのかよ?」
「だったら、早く着けなさいよぉ…ねえ、早くぅ…」
「そうせかすなって…えっと…あれ?も、もしかして…切らしてるってか…?」
和樹はベッドラックに右手を伸ばし、手探りでスキンの小箱を取ろうとしたのだが…
いつもの場所からも、どこからもその手応えは感じられない。慌てて顔を上げて
そこらじゅうを見回したものの、どうやら先日で使い切ってしまったらしく…
無情にもお目当ての小箱は見当たらなかった。
はふぅ…
和樹はたちまち愕然となり、深々と溜息を吐いた。やり場を失った愛欲が、
突然重い荷物のように感じられ…瑞希にまるまるのしかかってしまう。
「…どうしたの?ちょっと、重い…」
「…なんでこんな時にゴムが無くなってるかねぇ…」
「無くなってる?じゃあ、こないだで使い切っちゃったんだ…」
「たぶんな…くそ…あーもう、ついてねえなぁ…!」
そう毒づきながら、和樹は苛立ち任せで瑞希に頬摺りした。乱暴なだけの抱擁は
無神経な八つ当たりそのものであるが、高ぶりきった今ではもう大人げなさを
抑えきることができそうにない。
このまま我を通してしまいたい欲望もあるが、そこまで瑞希をないがしろして
いいはずもない。できるわけもない。
まさにないづくしであった。和樹の胸はもどかしさでひどくさざめき立つ。
言いようもない悔しさで、思わず唇を噛み締めてしまうほどだ。
ぎゅっ…ぬちゅ、ぬちゅ…
「わっ…み、瑞希…?」
そんな和樹のわだかまりをなだめてくれたのは瑞希の右手であった。そっと
自分達の隙間に右手を滑り込ませ、たくましく勃起したままのペニスをしごいて
再び和樹を奮い立たせようとする。
「ホントはゴム着けてほしいけど…そろそろ生理、始まる頃だから…いいよ、その
ままでも…たぶん、大丈夫…。それに、あたしだってもう…」
「瑞希、お前…」
「そっ、その代わり…もしそうなっちゃったら、あたしのこと…」
「そりゃあもちろん…じゃあ、ホントにいいんだな?その…色んな意味で…」
「う、うん…いい…いいよ…あんたがいいんなら…」
そこまで言ってから、二人は照れながらももう一度キスして…暗黙の約束を
交わした。これでもう戸惑いや躊躇いは無い。本気で愛し合うのみだ。それこそ
恋人としてだけでなく、結ばれた夫婦のように…。
「入るぞ…?」
「うんっ…」
ささやくような確認に続けて、和樹は右手にしたペニスの切っ先をクリトリスに
あてがった。そのままバターに熱いナイフを差し入れるように、ゆっくりと裂け目を
割り開いて…小さなくぼみへと下降させてゆく。
ぬち…ぬみっ…ぬぷ、ぬっ、ぬぬっ…ぬぶぷぷっ…
「くっ、ふぅうっ…あっ、はああんっ!!」
ツヤツヤのパンパンに膨張した亀頭が膣口を押し広げ、奥深く没入してきた
瞬間…瑞希は切望が叶えられた悦びに感涙を散らしてよがり鳴いた。
瑞希の身震いを間近で感じながら、和樹は引力に身を委ねてゆっくりとペニスを
挿入してゆく。痛々しいほどに漲った先端は発情の潤滑油にぬめりつつ、襞の群を
容赦なく掻き分けていった。
ぬるっ、ぬっ、ぷぢゅっ…ぬぷ、ぷっ、ぬんっ…
「きゃうっ…!」
「…っと、痛かったか?」
男の先端と女の深奥が、無粋なゴムの薄膜を隔てることなく触れ合ったとき…
瑞希は汗ばんだ尻を微震させて悲鳴をあげた。恋人の鋭い反応に、和樹は一も二も
なくそう問いかける。
しかし瑞希は苦痛を訴えることなく、それどころかしかめっ面から緊張を解き、
にっこりと微笑みかけてきた。小さく息を吐いて余裕を取り戻し、潤んだ瞳のままで
真っ直ぐ見つめ返してくる。
「…ううん、そうじゃない…そうじゃないよ…いま…今ね、その…」
「ははっ、わかった…お前ってここ、大好きだもんな。」
「だ、大好きってことないけど…あん…あ、ずるい…ん、んぅ…」
はにかんで言葉を濁す瑞希に微笑みかけながら、和樹はそっと腰をグラインドさせた。
緩やかな振動によって、亀頭が彼女の子宮口をぐりぐり押圧する。
和樹のペニスはそれなりにたくましく、全長は瑞希の手で二握りと少しの余裕がある。
小舟がそよ風に揺らぐほどの動きでも、興奮で怒張する亀頭は容易く彼女の性感帯を
刺激できるのだ。
過敏な深奥を攻められた瑞希はたちまち平静を失い、思わず不平を漏らしてしまうが…
その声はすっかりご満悦といった様子だ。華筒もペニスをもてなすように、ネットリと
すがりついてゆく。
「瑞希、ほら、枕…もうちょっと腰…そうそう、この辺でいいか?」
「…うん、ありがと。ね、和樹…キスして…」
「ああ…」
和樹は愛用のでか枕を引き寄せると、浮かせたままとなっている瑞希の腰にあてがった。
これだけでもずいぶんと楽になったようで、瑞希は安堵の息を吐きながら小声で
おねだりしてくる。もちろん和樹はそれを拒まない。
ちゅっ…ちゅ、ちゅっ…ちゅむっ…ちゅちゅっ、ちゅうっ…
和樹は左手で上体を支えると、右手で瑞希のうなじを撫でながら愛おしむように
唇をついばんだ。甘噛みして、吸い付いて、何度もたわませるごとに鼓動は高鳴り、
興奮の血潮を身体中へと巡らせる。
瑞希も重ね合う薄膜からささやかな水音を立て、和樹の抱擁に夢中で応えてゆく。
瑞希は和樹よりもずっとキス好きだ。浮かせていた腰を枕に預け、リラックス
できたこともあり…和樹さえ何も言わなければ、このまま朝まででもキスを楽しんで
いることだろう。
そもそも、唇は男女の別無く性感帯だ。だからこうして裸で、繋がったままキスを
交わしていると…その暖かな幸福感は性感帯どうしをリンクさせ、さらなる愛欲を
喚起してゆく。
現に瑞希は両手で和樹の頭を抱き込み、キスを中断させまいとしている。甘えんぼ
そのものの鼻声も、先程から途絶えることがない。
こうして瑞希は恋人とのランデブーを堪能しているのだが…一方で男性である
和樹には、そこまでの余裕は持ち合わせがなかった。
ねちっこいキスを重ねているだけあって、勃起しきりのペニスは瑞希の華筒を
キツキツに押し広げていきり立っている。せつなく胸を苛む愛欲は、もはや劣情と
蔑まれるほどに高ぶっているのだ。
なりふりかまわず、最愛の恋人を…目の前の瑞希を犯したい…。
そんな薄暗い欲望すら抱いてしまうほど、和樹の男心は焦れているのである。
ちゅ、ちゅむっ…ちゅぱっ…
「あんっ…や、もっとぉ…」
「…瑞希、そろそろいいだろ?キスはもうお預け…」
「やだぁ…だったら、キスしたまま…キスしたまま、して…」
「ったく、しょおがねえヤツだな、もう…」
「ん…ごめん…ごめんね、和樹…んんっ…」
愛欲を堰き止められなくなった和樹は、顔を背けるようにしてキスを中断すると、
苦し紛れのような声でそう願い出た。息遣いには思春期のような焦燥すら感じ取る
ことができる。
そんな和樹をさらに焦らすつもりか、それとも己の欲求のためにか、瑞希はキスの
維持を条件として和樹の願いを了承した。頭を抱いていた右手ですりすり首筋を
撫でるのは、慎ましい瑞希が彼女なりに媚び、急かしている証拠だ。詫びの言葉も
おざなりであり、条件を呑んでくれる和樹の唇をすぐにまた求めてゆく。
しかし、そんな瑞希に非は存在しない。非があるとすれば、二人きりの時間を
積極的に工面しなかった和樹のほうにこそであろう。それだけ瑞希は寂しがり屋に
なっていたのだし、そのぶん甘えんぼになってしまうのだ。
ぬるっ…ぬんっ、ぬんっ、ぬんっ…
「んっ、んっ、んっ…ん、あっ、あんっ…あ、ふぅ…」
やがて和樹は唇を重ねたまま、身じろぎ程度の動きでグラインド開始した。二人の
結合部からは、精製したての愛液が滲み出て瑞希の会陰へと伝い落ちてゆく。腰の下に
据えた枕がベトベトになるのも時間の問題であろう。
とはいえその動きは緩慢であり、とうていピストン運動とは呼べないものである。
それでも繰り返し子宮口を小突かれる瑞希には、必要にして十分な動きであるようだ。
比較的感度が鈍い膣内にありながら、特別過敏になっている深奥から快感の波紋が
拡がると…瑞希はたまらずにキスをやめ、上擦り声の乗った吐息を漏らし始める。
そのよがり様に偽りはないようで、瑞希の膣壁は和樹が突き込むごとに艶めかしく
くねり、ペニスの剣呑な形に添ってすがりついてくるのだ。その無言の要求は、まるで
ペニスを挑発するかのようであり…和樹は湧き上がる情欲に背筋を震わせながら、
少しずつ呼吸を熱くしてゆく。
ぬぷっ、ぬっぶ、ぬぷっ、ぬぷんっ…ずぶっ、ぢゅぷ、ずぷっ…
「ふぁ、あっ!あんっ!そ、そこ…その辺っ…!」
「この辺、だよな…?お前って、奥も…浅いとこも好きだもんな…」
「好き、好きぃ…あ、浅いとこ、ん、そ、そぉ…もっと、もっとほしい…」
和樹が乾いた唇を舌なめずりで潤し、少しずつピストン運動の振幅を大きくして
ゆくと…やおら瑞希はつま先を震わせてよがり鳴いた。高ぶりも相当なものがある
ようで、本能の命ずるまま両手で和樹を抱き締めてしまう。その情熱的な力は和樹の
背中に爪を立てんばかりだ。
実際に瑞希がよがるとおりで、彼女は膣の入り口付近にも過敏な部分を有している。
彼女の膣内に指を差し入れればわかるはずだが、入って少しのところのへそ側に…
微かに隆起したしこりのような部分がある。一般にGスポットと呼ばれる部分だ。
人によってその存在はまちまちであるらしいが、瑞希は紛れもなくここから性感を
見出すことができるのである。
これは余談になるが、二人が付き合い始めて間もない頃…瑞希は好奇心旺盛な
和樹にすぐさまこの部分を発見され、哀願も聞きいれてもらえず執拗に攻められ
たことがある。
どこか浮揚感すら伴う大きな快感に当時の瑞希は怯えきって、泣きベソになって
嫌がったのだが…そのうち意識が閃光に飲み込まれてしまい、男の子のように激しく
達してしまった。そのときに初めて…俗にいう「潮噴き」を経験したのだが、それを
知ったのは、意識を取り戻した後で和樹に教えてもらってのことだ。
初めて目の当たりにした潮噴きに興奮して、大人げなくはしゃいでいた和樹も…
今では瑞希の身体をすみからすみまで熟知している。吐息、声、しぐさ…それらから
セックスのリズムを的確に把握し、二人で高みに登り詰める術をわきまえている。
ぬるっ、ぬるっ、ぬるっ…ぬぶぶぷっ、ぬん、ぬんっ…ぐり、ぐり…
「あっ!はぁ、あんっ!あ、ふぅ…う、ううっ…!あっ、はぁあっ…!!」
腰を引いて入り口付近を攻めては、深く突き込んで深奥をえぐる…そんな変化に
富んだ和樹の動きで、瑞希は確実に高揚をきたしていた。汗の浮いた頬は真っ赤に
火照り、細まった瞳は感涙に潤んで…まるで悦びを持て余しているようにも見える。
なによりこの切羽詰まった鳴き声は、演技では表現できない本物のあえぎ声だ。
「ご機嫌だねえ…どうだ、気持ちよくなれそうか…?」
「うん、うんっ…かずきも、どう…?気持ちいい…?」
「ああ…ははは、なんか…いますぐにでも終わっちまいそう…」
瑞希のささやかな問いかけに、和樹は苦笑半分で弱音を吐く。セックスでこその
快感に身を酔わせているのは、なにも瑞希だけではないのだ。
瑞希のよがりに呼応して、和樹は少しずつグラインドのピッチを早めてきている。
それは瑞希をさらなる高みに導くためでもあり、身体が本能の命ずるままに快感を
欲張ってしまうためでもあるのだ。射精する心地よさはマスターベーションで再現
できたとしても、異性と交わる悦びまでは決して代償できないのである。
なにより、ペンを握るよりもずっと長い付き合いの右手であっても…瑞希の
瑞々しさに満ちた身体には遠く及ばない。後者の方がはるかに気持ちいい。
粘度の少ない愛液でヌルンヌルンに濡れそぼるペニスは、和樹のサイズより少し
狭めの華筒にすっぽりしゃぶりつかれているのだ。そのしゃぶりつきに逆らうごとく
ピストン運動を繰り出すと、背の高い襞の群はネットリとくびれに絡まりついてくる。
突き込むと素直に受け入れ、引き戻そうとすると一斉にすがりついてくる貪欲さは、
瑞希の貞淑な性格と相反していて実にいやらしい。
なまじっかコンドームを着けていないだけあって、その感触は普段とはまるきり
別の物だ。瑞希のぬくもり、ぬめり、襞のひとつひとつが直接中枢に作用してくる
ようであり…和樹は為す術もなく瑞希の膣内に逸り水を滲ませてゆく。
そんなピストン運動だけでも達するには十分であるというのに、目から耳から
興奮の材料は間断なく飛び込んでくる。
ぶっちゅ、ぶっちゅ、ぶっちゅ…たぽん、たぽん、たぽん…
「あんっ!あっ、あひ、あひっ…ひぁ、ひっ、いっ!いいっ!いいよぉ…!」
「はあっ、はあっ…瑞希…瑞希っ…!」
「んっ!あ、お、奥も…あんっ!だめ、だめえっ!あひ、あっ、あふぅっ!!」
和樹が深くペニスを突き入れるたび、瑞希の火照った柔肌は滑らかに波打ち…
豊満の二文字を堂々と冠する美しい乳房も左右対称に円を描く。その動きを眺めて
いるだけでも、和樹の男心はひどく煽られ…さらに彼女を攻め立てたくなるのだ。
美しい女を思うがままに抱きたいという衝動は、一般の男であれば誰でも持ち
合わせがあって不思議ではない。今の和樹を責める権利など誰にもないだろう。
その権利を有する者がいるとするならば、それは瑞希の両親ぐらいであろうか。
その両親が聞いたら卒倒するような熱っぽい嬌声も、しとどに濡れてぬかるむ
音も、肌が打ち合う音も、絶え絶えな息遣いも…瑞希の恋人である和樹にとっては、
すべて愛欲の活力源となる。本能も無意識下に和樹を欲張らせ、子孫を残すための
プログラムを着々と進めていった。ペニスもぬかるむ膣内で剛直を極め、堪えようも
ないほどの射精欲を募らせてくる。
「あ、か、かずき…かずきぃ…!だ、だめっ、もうだめ…激しすぎるよぉ…」
「はあっ、はあっ、はあっ…くっ…ん…ふぅ…ふぅ…」
「え…か、和樹…?」
「へへへ…ちょ、ちょっと休憩っ…。まだ終わりたくないからなっ。」
しかし和樹は理性を振り絞って本能に逆らい、あれだけ激しかったピストン運動を
ぴたりと中断させた。きょとんとなって見上げてくる瑞希にも、どこかせつなそうに
しながらおどけてみせる。
和樹は絶頂を目の前にしながら、自らの本能におあずけをくわせたのだ。射精寸前の
過敏さを保ったままで、危険極まりないペニスは…瑞希の子宮口に先端を押し当てたた
まま、射精させてもらえなかった悔し涙のように逸り水を漏らしている。
…このまま終わってしまうのは、あまりに早すぎる…。
和樹はそう感じていた。久しぶりの水入らずなのだから、まだまだ瑞希とイチャ
イチャしていたい。まだまだ瑞希とのセックスを楽しんでいたい。何度も挑むよりは、
一度に思いの丈のすべてを込めたい…。
和樹は瑞希の額から汗で貼り付いている前髪を退けてやり、ゆっくりと膝立ちの
姿勢に戻る。気付けばお互い屈曲位になるほど燃えていた。瑞希がしたたかに
よがっていたのも納得がいく。
膝立ちの脚を開いて微妙に高さを合わせてから、和樹はそっと瑞希の両膝に手を
添えた。M字開脚状態の瑞希は荒ぶった呼吸で乳房を揺らしているが、別段恥じらう
ことはない。真上から突き込まれていた余韻で意識が朦朧としているのだ。
「しっかし、生ってこんなによかったんだなぁ…」
「そっか、ゴム付けてないんだっけ…でも、これが本当のセックスなのよ?」
「ははは、そうだよな…ホントに子供つくるようなセックスなんだよな…」
「う、うん…そうだよね…」
一糸纏わぬ姿で繋がっている二人は、見つめ合ったまま何気ないつもりで戯れ言を
交わした。しかしその言葉の意味を認識した途端、思わぬ照れくささと愛おしさが胸いっぱいに
こみ上げてきて…二人とも思わず押し黙ってしまう。
和樹も、瑞希も、ただじっと…スタンドの暖かな明かりに照らし出された互いの
顔を見つめていた。深く繋がっている部分で、それぞれのぬくもりを感じている
だけでも歓喜で表情が和む。
「子供、できちまったら…産んでくれるよな?」
「そろそろ生理、始まる頃だから…多分できないと思うけど、産んでもいいの?
赤ちゃんできちゃったら、あたし…産んでもいいの?」
「…そんときゃ一緒に育てるんだからなっ。オレに押しつけて雲隠れすんなよ?」
「バカッ…そんなことするわけないじゃない…。あんたにはちゃあんと養ってもらう
んだからねっ。二人ぶん…三人ぶん…ううん、四人ぶん…?」
「おいおい、何人子供作ろうってんだよっ?」
「ふふふっ…!」
そんな甘やかな妄想をささやき合い、二人は声を出して笑った。幸せの手触りを
確かめることができたような気がして、たまらなく胸が熱い。吐息はもう、その
ひとつひとつが熱っぽい嘆息になってゆく。
「和樹、好きだよ…大好き…。あたし、ずうっとあんたのことが好きだから…」
「オレも同じだよ。ずうっと瑞希と一緒にいたいし…一緒にいてほしい。」
「…なんかそれ、ずるくない?」
「よっ、と…なにがずるいってんだよ?」
瑞希は高ぶる想いに駆られるまま、真っ直ぐに和樹の瞳を見つめて告白した。
和樹もそれに倣うように、真摯な眼差しを送りながら答える。
しかし瑞希は彼の言葉に口許をとがらせ、すねたような口調で不平を漏らしてきた。
和樹は彼女の腰から枕を抜き取りつつ、膝立ちとなっていた両脚を右、左の順に
投げ出して問い返す。ずるい、と言われても思い当たるふしが無いのだ。
「だって、ずるいじゃない…あたしあんたに対する気持ち、ちゃんと言ったよ?
だから、あんただって…あたしのこと、どう思ってるのか…」
「さっき言ったじゃんかよ、ずうっと一緒にいてほしいって…」
「そうじゃなくって…もっとちゃんと言ってほしいのっ…」
「ちゃんとって…そっか、わかったわかった!だったら瑞希、こっち来いよ!」
「え?あ…よいしょ、っと…んぅ…」
らしくもない歯切れの悪さでモジモジと視線を逸らす瑞希に、和樹は一瞬当惑
したものの…すぐに彼女の望んでいる一言に気付くことができた。黒板の問題を
解くことができた小学生のようにニカッと微笑み、恥じらう瑞希に両手を差し伸べる。
瑞希もその両手の意味を問うような無粋な真似はしない。しおらしくつかまって
引き起こしてもらい、微妙に腰の位置を整えて体育座りとなる。
互いにベストポジションを決定すると、これで二人は対面座位の体勢だ。この体位は
動きこそ少ないものの、楽な姿勢で甘えられるから瑞希はけっこう気に入っている。
あぐらをかいた和樹に抱っこされている感じがたまらなく嬉しいのだ。
「…今さら言わなくてもいいだろ?お前だってわかってるくせに…」
「だめっ、ちゃんと言ってほしいのっ…。そりゃああんたの気持ち、わかってる
つもりだけど…それでも、ちゃんと言葉にしてほしいときだってあるんだから…」
「わかったよ…瑞希、好きだぜ?」
「うん…んっ…」
ちゅっ…
わざと一回焦らしてから、和樹はぴっちりと唇を塞ぎ…瑞希に告白を口移しした。
その返事を待つこともなく、小首を傾げて密着に角度を付ける。瑞希も待ち焦がれて
いた抱擁に鼻息を漏らし、和樹の首に両腕を絡めてすがりついた。
ちゅっ、ちゅっ…くちゅ、ぬみゅっ…ぷちゅ、くちゅ…
しばしお気に入りの重なり具合で吸い付きあい、やがて阿吽のタイミングで舌先を
滑り込ませてゆく。和樹も瑞希も、お互い美食家を自認するほど舌が肥えているが…
その舌はディープキスも大の好物だ。じっくり味わうように絡め合わせてから、
ザラつく舌の腹どうしを摺り合わせて唾液を攪拌する。
「んっ、んんっ…ん…すふ、すふ、すふ…」
「すぅ、すぅ、すぅ…んっ…んんぅ…んっ…」
二人は目を伏せたまま抱き締め合い、時折熱い鼻息を漏らして接吻欲の充足に浸る。
特に瑞希はご機嫌で、先程から鼻にかかった猫撫で声が止まらない。
それもそのはずであり…和樹はディープキスするだけでなく、背中に回した右手で
瑞希の髪に手ぐしを入れているのである。
普段この長い髪はサイドポニーに結わえられているのだが、当然今は就寝前である
から下ろされている。湯上がりということもあって、その艶やかさは格別であり…
彼女が手入れを怠っていないことは瞭然だ。
その髪は恋人である和樹に触れられることで、立派な性感帯へと変化するので
ある。うなじの辺りに触れられ、そこから指を沈めつつ毛先まで撫でられると…
くすぐったいほどに胸が踊る。ディープキスがねちっこくなるのも仕方のないことだ。
もみゅっ…もみっ、もみっ…さわっ…なでなで、なでなで…
「う、ふぅん…んっ…んふっ…」
そのうち和樹は髪への愛撫を終えると…アンダーバストから持ち上げるようにして、
瑞希の左の乳房を右手に包み込んだ。大きく広げた手の平いっぱいに柔らかみを
揉み込みつつ、背中を抱き寄せていた左手で尻を撫でる。瑞希はたちまち腕の中で
ゾクゾクッと身震いし、愛くるしい鼻声を弾ませてきた。
ちゅ、くちゅ…ちゅ、ぷぁ…ひゅじゅっ、んくっ…
「はぁ、はぁ…瑞希、好きだぜ…」
「うん…ん、嬉しい…あたしも好き…好きぃ…」
舌を絡めたまま、強引にディープキスを終えた二人は…混ざり合った唾液をこぼさぬ
よう音立ててすすり、小さく喉を鳴らす。火照った吐息で告白を交わすが、その鼻先に
ふりかかってくる歯磨き粉の匂いすら、今はなんとなく嬉しい。
もんみゅ、もんみゅ、もんみゅ、もんみゅ…
「ふふっ…好きだぜ…ホントに好きだ…好きだから、やめらんねぇ…」
「ふぅ、ふぁ…な、なにそれ…あたしと、む、胸と…どっちが好きなのよ…」
「お前の胸だから好きなんだよっ…」
「んぅ…すぐそんな言い方するんだから…」
みっしりとした質量を秘める瑞希の乳房を揉みこねながら、和樹は逸るような
口調で告白を続けた。余裕たっぷりの揉み応えに右手も感動してか、五本の指は
先を争うように動いて休むことがない。少しでも気を抜けば、手荒に揉みしだいて
しまいそうなくらい誘惑的だ。
そんな和樹の言葉と態度に、瑞希はふてくされて唇を噛み締めるが…それでも
心地よさそうな鼻声は止まらない。むしろ口を閉ざしてよがれなくなったぶん
焦れったさが募るようで、瑞希は両手両脚で和樹に抱きついてゆく。
きゅんっ…きゅんっ…きゅんっ…
「んっ…ふ、くふっ…!んっ、く…んっ!んんんっ…!!」
「どぉしたんだよ…気持ちいいんなら、声出せばいいじゃん…」
「い、いや、出さないっ…今、声出したら…欲張りになっちゃう…!」
和樹の労りも突っぱねて、瑞希は頑なに声を出すまいと努める。
太々としたペニスが食い込んだままの華筒は、和樹に乳房を揉みこねられるごとに
せつなくうずき、いやらしく締め付けて求めるのだ。ここで声を漏らしてしまえば、
よがり鳴く爽快感に抗えなくなるのは目に見えている。自ら腰を振りかねない。
そんなはしたない姿だけは和樹に見せたくなかった。
しかし…そんな努力も燃え盛る愛欲の前にはただの徒労でしかない。
…ぬちっ…きゅ、きゅっ…くりくり、くにゅ、くにゅっ…
こみ上げてくる情欲に屈服した瑞希は、精一杯の力ですがりついていた右手を
股間に忍ばせ…過敏を極めたクリトリスを慰めにかかった。ツン、としこっている
女芯を指先でつまみ、強く押圧して手っ取り早く快感を求める。
「ん…ん、んぅ…あっ、あん…うっ…はぁ、はぁ、はぁあっ…」
乳房への愛撫とマスターベーションによる相乗効果は大きく、うつむいたままの
瑞希は吐息を上擦らせて身震いした。心中、声を上げてしまったことにほぞを噛むが
もう遅い。よがればよがるだけ胸の内圧は高まり、左手も、両脚も、華筒も…和樹への
すがりつきを強くしてゆく。ここでまたキスされたりしたら、愛しさのままにもう一度
告白を繰り返してしまうだろう。
そんな瑞希の別人のように悩ましいさえずりは、当然和樹の耳に届いている。先程の
強がりを聞いているだけに失笑を禁じ得ないが、それでもその官能的な響きの前に、
ペニスは萎縮することを知らない。もっとも、きつく抱き締め合って、ディープキスを
交わして、乳房をもみくちゃにして…そのうえで恍惚たるさえずりを聞かされている
わけだから、これで反応できなければただの腑抜けであろう。
ぎゅっ…
和樹は乳房への愛撫を終えると、瑞希の身体を強く押し抱いた。うつむいている
横顔に頬摺りしつつ、彼女の耳元に唇を寄せる。
「結局、欲張りになってるじゃんかよっ…。どーする?そろそろ続き…始める?」
「うん…して…」
「へへへ…なんだよ、かわいいじゃねーかよ、瑞希っ…」
「あ、んぅ…」
照れくさそうにささやいてから、和樹はあぐらをかいていた両脚を投げ出し、瑞希を
腕の中から解放した。密着の解かれた胸元からは興奮の汗がほわりと揮発し、二人の
過剰な火照りを冷ましてゆく。
瑞希は背後に両手を突き、ゆっくりと仰向けになるが…その間ずっと、上目遣いで
和樹を見つめていたりする。これは言葉に出して求めたことと、かわいいと言われた
ことが単純に照れくさいためだ。横たわった弾みで、迫力ある乳房がたぽんと揺れ
ると…なんとなく両手で覆い隠したりもする。
恋人のささやかな恥じらいに目を細めつつ、和樹は瑞希の左脚を高く上げさせると…
そのままストレッチよろしく反時計方向に倒した。自身も同時に膝を曲げ、シーツに
へたりこんだあひる座りとなる。
「瑞希…オレ、最後まで抜かないからな。そのままゆっくりよつんばいになってくれ。」
「う、うん…」
和樹がそう宣言して促すと、瑞希は二つ返事でうなづく。しかし、その表情は
どこか気乗りしない様子の薄曇りだ。
和樹は深い結合を維持したまま、瑞希に後背位の体勢を取らせようとしているのだが…
実は瑞希は、あまり後背位が好きではない。男性側に一方的な主導権のある後背位
では、女性の側からは抱きつくこともキスすることもできないからだ。
それになにより、肛門が丸見えになってしまうことが瑞希の中で最も大きな躊躇い
になっている。陰部を見られることにも抵抗があるというのに、不浄の部分まで
見られてしまうとあっては、羞恥のあまりに失神しそうなくらいだ。
「今まで何度も言ってるけど…あたし、バックってあんまり好きじゃないのよ…?」
「じゃあ、ダメか…?」
「だ、ダメとは言わないけど…できるだけ、してほしくないな…なんて…」
「でも…ほら、そう言いながらもよつんばいになってくれるじゃん。オレ、そんな
健気な瑞希が大好きだぜ?いつもわがまま聞いてくれてサンキューなっ。」
「ば、バカッ…!バックはもう、今日限りなんだからっ…もう絶対しないんだからっ!」
瑞希は真っ赤になってそう言うものの…すでに二人は結合を維持したまま、正常位
から後背位の変更を終えている。
瑞希と違って、和樹は後背位がお気に入りの体位だ。もちろん正常位も好きなのだが、
後背位ならではの、恋人を支配したかのような錯覚が理屈抜きに嬉しいのである。
特に尻を突き出すようなポーズが、普段勝ち気な瑞希がしおらしく屈服したように
見えて…それだけでも和樹の独占欲は深く満たされる。
しかも正常位とは膣のカーブ方向も違っているため、感触自体も別物だ。背中を
反らしてもらえばそれなりに締め付けも増すし、楽な姿勢で深く突き込むことが
できるのも魅力のひとつであろう。繋がったまま体位を変える際の、ぬかるむ膣内で
ペニスが百八十度ねじられる感触もなかなかに悪くはない。
「そりゃあ残念だ。でも今日限りってんなら、目一杯楽しんどかないともったいない
よな…みず、きっ…!」
「ひんっ…!!」
揶揄するような口調でそう言うと、和樹は瑞希の深奥に不意打ち同然の突きを
見舞った。ずんっ…と重い一撃で子宮を揺さぶられた瑞希は鋭い悲鳴をあげ、おとがい
をそらして強くのけぞる。
びくくくっ、びくくくっ…きゅ、きゅきゅっ…ぷぢ…
「うわっ…ちょ、瑞希…?」
「う、くっ…んっ…んんっ…ふぁ、はぁ…はぁ…はぁ…」
次の瞬間、和樹は突き上げたままの子宮口が小躍りするのを亀頭に感じた。驚き半分
の呼びかけに答えることなく、瑞希はのけぞらせた裸身をゾクゾクさざめかせてくる。
そのうち華筒の終点部分が亀頭をすっぽりくるんできて、やがてペニス全体を
ぴったりと締め付けてきた。弾みで結合部の隙間から愛液が染み出てくるが…これは
それだけ二人の相性が抜群であるという証拠だ。先端といわず、くびれといわず、
幹といわず…愛おしむようにネットリと絡まり付いてくる心地は、ただこうして
じっとしているだけでも射精を迎えてしまいそうである。
「おい瑞希…お前まさか、イッてる…?」
「ん…うん…さっきクリトリスいじってて、もうギリギリだったし…」
和樹が経験に基づいて推察したとおり…瑞希は先程の一撃で登り詰めていた。その
余波で意識もぼやけているらしく、瑞希はてらうことなく和樹の問いかけに答えてしまう。
登り詰めたとはいえ、失神するほどの法悦に飲み込まれたわけではない。あくまで
絶頂感は軽く、子宮口とクリトリスから身体のすみずみへと…暖かな快感が波紋の
ように拡がっているのみである。
それでも、いま瑞希の中枢を酔わせている絶頂感は、男性にしてみれば射精数回分の
快感を凝縮したような感覚だ。もし和樹が瑞希の感覚を分けてもらったとしたら、
きっとたちどころに感涙を散らして気絶することだろう。
「…続けられそうか?」
「いま来たの、ちっちゃいやつだから…まだ大丈夫…いいよ…」
「よぉし…じゃあ覚悟しろよぉ…?」
「あんっ…や、くすぐったいよぉ…」
さわっ…さわっ、さわっ…なでなで、なでなで…
上擦り声を震わせながらも、瑞希はしっかりとよつんばいを維持しているので…
和樹は小さく舌なめずりひとつ、まず彼女の尻を両手で撫で回した。たちまち瑞希は
くすぐったそうに身をよじり、恥じらった表情で何度も振り返ってくる。
スポーツを嗜んでいるため、瑞希の尻は程良く引き締まってまるまるとしている。
真上から見下ろせば、ちょうど逆さハート形をしているかわいらしいヒップだ。
それでいてザラつきのひとつもなく、どこまでもスベスベとしていて手触りも格別である。
無骨に筋肉質であるということもなく、適度に脂肪を帯びていて柔らかみも素晴らしい。
美しくくびれたウエストから、幾分ぽってりしている太ももにかけてをひとしきり
撫で回して…ようやく和樹は瑞希の尻に両手をかけた。真上から指を立ててわしづかみ、
大人の色っぽさを湛えた後ろ姿と相対する。
ぬ、るるっ…ずぷっ、ずぷん、ずぷん…
「ふぁ…あんっ!あ、ふぅう…んくっ、あっ!あんっ!あんっ…!」
「くっ…なんか奥の方、エッチなカタチして…あ、すげぇ…いいっ…」
「な、なによ、変な声出して…かっこわるぅ…」
「うっ、うるせえっ…」
後背位のフィット感をペニスに馴染ませようと、和樹は短いストロークで子宮口を
ノックしてみた。突き上げるというより押圧する程度の動きであったが、それだけ
でも瑞希はかぶりをふってよがり鳴く。いまだに遠のかない絶頂感が増幅されるのか、
子宮口はその鳴き声に同調し…くくくっ、くくくっ、と亀頭を包み込んだまま小刻みに
震えた。
この奥まった空間こそ、達した女性が無意識に形成する精液のプールなのだが…
その部分から強引に亀頭を引き抜き、また押し込むときのささやかな抵抗感は和樹に
だらしない鼻声を出させてしまう。振り返って小馬鹿にしてくる瑞希の微笑にも
上手い反撃を寄こすことができない。
なまじっか亀頭が漲ってくるぶん、くびれをくじられる感触は次第に大きくなって
きた。否、亀頭はすでにパンパンになるまで漲っているのだが、そのぶん感度が
増してきているのだ。狂おしいほどに募る射精欲は押し留めるのも一苦労であり、
和樹はせつない嘆息を止められなくなってしまう。
ずぶっ…ずぷっ、ずぷっ、ずぷっ…ぺた、ぺた、ぺた…
「はあっ、はあっ、はあっ…みずき…みずきっ、みずきっ…!」
「ううんっ!あ、ふっ…!ふぁ、あんっ!あうんっ!あうんっ…!!」
セックスの悦びに魅入られた和樹は恋人の名を連呼しつつ、ピストン運動のテンポと
ストロークを少しずつ早く、大きくしていった。それに合わせて、ぬかるむ音や肌が
打ち合う音もボリュームを増してゆく。二人のよがる声もまた然りだ。
和樹は瑞希以外の女性と交わった経験がないのだが、それでも十分と断言できる
ほど彼女の内側は素晴らしかった。夢中で腰をグラインドするたびに、勃起しきりの
ペニスは焦れったい快感を生み出して…ただでさえも愛液でいっぱいの膣内に、
たっぷりと逸り水を漏出してゆく。ジクン、ジクン…と染み出る心地だけでも
上擦り声を抑えられない。
にもかかわらず、プリュプリュとした弾力を有する襞の群は搾乳するようにくねり、
和樹を高ぶらせようとするのだ。引き抜くときにはネットリとすがりつき、押し込む
ときにはぬめりながらも締め付けて…ペニス全体にくまなく射精を要求する。
その艶めかしい反応に、男としての本能は逆らえるはずもなかった。和樹は瑞希の尻を
わしづかんだまま、華筒の奥深くへ何度も何度も亀頭を送り込む。
ふよん、ふよん、ふよん…ゆさっ、ゆさっ、ゆさっ…
大胆なピストン運動に合わせて、瑞希の柔肌は尻から背中にかけていやらしく波打つ
のだが…その光景を真上から眺めているだけでも、和樹は愛欲の高まりを覚えてしまう。
萌えるという言葉は、まさに今の和樹のような心情こそ適切なのかもしれない。
「…瑞希、お前ってホントにスケベな身体してるよな…。胸の揺れる反動、先っちょに
伝わってくるぜ?」
「やだっ…もう、ヘンなこと言わないで…」
和樹が感心しながらつぶやくとおり、よつんばいになっている瑞希の乳房はピストン
運動の弾みで激しく前後に揺さぶられ、その質量による反動を彼に伝えている。
瑞希は文字通りの美乳かつ巨乳の持ち主であるから、後背位で大胆に交わるとこういう
現象すら生ずるのだ。
「ほら、こうやって奥まで入れたまま動いたらもっとわかる…」
「や、やめっ…奥ばっかりダメッ…あっ!ひゃうっ…!!」
「わ、ととっ…おい瑞希、大丈夫かっ?」
「へ、平気…でも、ちょっとごめん…力、抜けちゃって…もうよつんばいになって
られないみたい…」
調子に乗った和樹が悪ふざけした途端、瑞希はよつんばいの上体を支えきれなくなり、
肩からシーツへと突っ伏してしまった。柔らかなベッドの上であるから怪我こそしないが、
それでも和樹は真摯な声で安否を気遣う。
それでも瑞希は視線だけで和樹を見上げ、過剰に心配させまいとおどけた様子で
微笑みかけてきた。殊勝な性格はベッドの上でも変わらない。
「バック、もうやめとくか?」
「ううん、このままでいいよ…ここでまた体位変えたら、その間に雰囲気変わっちゃう
と思うし…」
「そっか…だったら瑞希、ほら、枕抱いてろよ。少しでも楽だろ?」
「あ、うん…いしょ、っと…へへへ、ありがと。ごめんね?」
「そりゃあこっちのセリフだよっ。」
わがままを許してもらっている和樹は色々と気を回し、先程重宝したでか枕を瑞希に
差し出した。大人三人が余裕で頭を並べられる愛用の枕は、さすがに抱き枕とまでは
いかないものの、それでも瑞希の上体を支えるには十分な大きさがある。
瑞希はその枕にのしかかると、豊満な乳房をたわませて体勢を整えた。よつんばい
より尻を高く突き出す格好ではあるが、それでものけぞり気味の背中が窮屈と
いうことはない。互いを思いやって笑みを交わせば、これでもう愛欲は元通りだ。
ぬるるっ…ぬるっ、ぬるっ、ぬるっ…ぬぢゅぷっ…
「ずうっと奥ばっかりしてたからな、浅いところもしてやるよ。」
「あん…あん…あん…あ、いいよぉ…だ、だめっ…やだ、抜いちゃ…」
「抜かないって…ホントのギリギリ、入り口の辺りも…」
「ふぁあ…その辺でされたら、クリトリスにも…んっ、んぁ…ん…」
和樹は愛液で濡れそぼる幹を膣内から引き抜き、膣の入り口付近の襞を亀頭のくびれで
引っ掻いてみた。Gスポットの辺りを擦っては、くびれが露出しそうな辺りで膣の内径を
広げるように動く。膣口付近には括約筋があるため、締め付けに関しては奥よりも強い。
浅い結合での、くすぐるような緩慢な動きは和樹だけでなく瑞希にも余裕を与える
ようで…彼女は少し饒舌になってささやかによがる。時折枕に頬摺りしては、心地
よさそうに溜息を吐く姿はなんとも微笑ましい。
ぬっ、ぬぶぶぷぷっ…
「んあっ…あっ、んっ、んんんっ…!」
そんな愛くるしい横顔も、深く挿入された途端…せつなげにしかめられてしまう。
声も切羽詰まった鼻声となり、枕を抱く手にもギュッと力がこもる。
そのギャップが和樹の胸をワクワクと逸らせた。薄暗い嗜虐心が鎌首を持ち上げて
くると、和樹は瑞希の尻からさりげなく右手を滑らせる。
ぴとっ…
「ひゃっ…ちょ、和樹っ!どこ触ってんのよっ!?」
「え?自分でわかんねーのか?」
「そ、そうじゃなくって…おっ、怒るわよっ!?あっ、お、怒るって言ってるのにっ…!」
「そんなかわいい声で怒られても…もっと意地悪したくなるだけだぜ?」
「だっ、ダメッ!ダメよ、指入れちゃダメ…やだ、そんなとこ触らないで…!」
丸見えにしている肛門を和樹の中指に触れられ、瑞希は湯気が出そうなほど顔面を
紅潮させて叫んだ。羞恥と憤慨がない交ぜになった面で、瞳いっぱいに潤みを湛えながら
不躾な恋人を睨み付ける。
それでも和樹は怯むことなく、色素の濃いすぼまりを愛液のぬめりにまかせてクルクル
撫で回した。きゅっと指先に力を込めると、瑞希はたちまち威勢を失い…怒声を鳴き声に
して哀願してくる。
ぬるっ…ぬっ、ぬぐっ…ぐりぐり…ぐりぐり…
「ああっ!や、いや、入れないで!入れちゃ…だ、だめ…おしりの中、触らないで…!」
「じっとしてて、瑞希…このまま動きたいっ…」
「そ、そんな…も、もうやだぁ…恥ずかしくて、死んじゃいそう…!」
しかし和樹は聞く耳を待たず、中指の第一関節をすぼまりの中に埋めてしまった。
しかもそのまま左右にひねり、きゅんきゅんと元気の良い締め付けを入念に触診する。
ほじくるように指先で引っ掻くと、膣口も連動して締まり上がり…ペニスをキツキツに
甘噛みしてきた。
淫らな愛撫に瑞希はひどく恥じらい、枕に顔を埋めてイヤイヤするが…それでも
和樹の求めを断固として拒もうとはしない。
瑞希は愛しい和樹に、あるがまますべてを捧げているのだ。獣のようなポーズを強い
られても、肛門の内側を確かめられても…それが信頼を寄せている和樹の望みなら
すべてに応えたくなるのである。
この瑞希が抱いている感情は、決してにわかに芽生えたものではない。いくつもの
おしゃべりを交わし、デートを重ね、ケンカを重ね、唇を重ね、身体を重ね…心から
惚れ抜いた果てに生まれた女としての慈愛なのだ。愛しい男に尽くしたいと願う
気持ちは、決して自暴自棄でも、その場しのぎの安易な媚びでもないのである。
「大丈夫、もうこれ以上入れないから…な?」
こくん…
瑞希は返事を寄こすことなく、唇を噛み締めたまま小さくうなづく。和樹はしお
らしい様子に目を細めると、よしよしとばかり左手で瑞希の尻を撫でた。じっとり
汗ばんでいる尾てい骨の辺りも、そっと手の甲で拭ってやる。
ぬっ、ぬるるるっ…ぬぶぷぷっ…ぬる、ぬるるるっ…ぬぶぷぷぢゅっ…
「あふぅんっ…!あっ、あっ…ふうんっ!はぁ、はぁ…あっ、ん、んんんっ…!」
和樹は大きく腰を引いてから、真っ直ぐ奥まで突き入れ…ゆっくりではあるが、
目一杯のストロークのピストン運動を繰り出した。深い挿入感が子宮口から重く
響いてくるたびに、瑞希は火照った溜息を枕に吐きかける。陶酔に濡れる声は
甘ったるいことこの上なく、吐息のかかった部分は今にも桃色に染まりそうだ。
実際、瑞希はもう頭の中にボンヤリと霞がかかってきている。乳白色に染まり
つつある意識では、もう和樹に対する愛しさだけが延々とループを繰り返していた。
肛門をぐりぐりほじられていても、その恥辱すら悦びに昇華されてゆく。押し寄せて
きている法悦の大波に震えるあごは、もう少しも嫌悪の情を声するつもりがなかった。
そんな瑞希に負けないだけ、和樹もまた大きな快感を得ている。何度も何度も挿入を
やり直しているような、そんな贅沢なグラインドは当然しゃぶりつかれている時間も
長く…射精欲の高まりも強い。
それでいながら視線を落とせば、そこには自分達の結合部が赤裸々となっているのだ。
美しい白桃の中央部では、太々とした幹が儚げな膣口をいっぱいに押し広げ…
指でさえも窮屈な膣内を蹂躙している。処女膜の名残も、腰を突き出せば内側に引き
込まれ、逆に腰を引けばめくり出されて精製したての愛液を染み出してきた。もう
二人の太ももはもちろん、シーツに至るまでが白っぽい粘液でベトベトだ。
ずぶっ、ずぶっ、ずぶっ、ずぶっ…ぺち、ぺち、ぺち、ぺち…
「瑞希…みずきっ、みずきっ!!」
「あっ、あんっ!あんっ!ああん…っ!!や、来ちゃう!すごいの来ちゃうっ…!」
猥褻な光景を目の当たりにし、和樹は思いも寄らないほどの愛欲で胸を焦がして
しまう。肛門を苛めていた中指を引き抜くと、両手で瑞希の腰を押さえ…怒濤の
勢いでピストン運動を始めた。リズミカルではあるものの、瑞希の大切な部分を
だめにしそうな猛々しさで、何度も何度も深奥を突き上げる。
絶頂が近いのか、瑞希の華筒は今まで以上のフィット感でしゃぶりついてきた。
もはや本能に駆られたグラインドすら困難である。そのぶん下肢に力がこもると、
肌の打ち合う音もどんどん明瞭になってゆく。
瑞希は髪を振り乱してイヤイヤしながら、背後から増幅されてゆく圧倒的な快感に
怯えていた。募る愛しさをなだめるため、よがり鳴きながら抱き締めている枕に
顔を埋める。唇がキスを恋しがってならないのだ。
…せつない…せつないよ、こんなの…身体が…はじけちゃいそう…
瑞希はもう、身体中くまなく性感帯になったような心地であった。肌という肌は
もちろん、つま先からまつげに至るまで…どこに触れられても登り詰めてしまいそう
であるというのに、過敏な深奥を攻め立てられて意識が遠のく。もうひたすらに
気持ちいい。つらいほどに…もう死んでしまいたいくらいに気持ちいい。
そして…その快感は理想的な形で瑞希を飲み込むこととなった。
「あっ!あっあっ…イクッ!イクイクッ…!!あっ…あぁ、すごいっ…あ、あっ、
死んじゃうっ…死んじゃう…ふ、ふぅ…ふぅう…うっ…」
きゅっ、きゅきゅきゅっ…きゅきゅきゅっ…ぷぢぢゅっ…
にわかに下肢を緊張させ、突き出している腰をブルブル震わせた瞬間…瑞希は
感涙を散らして鳴いた。彼女は深奥への刺激でエクスタシーを迎えたのだ。
殺到した法悦の波濤から精神を保護するため、意識が強制的に切断されると…
失神した身体は絶頂感のすべてを享受しつつ、その機能を始めた。子宮へと続く
小道が微かに拡がり、膣は精を求めてぴったりとペニスに吸い付いてゆく。
その機能に誘発され…和樹も数瞬だけ遅れて限界を迎えた。
「あっ、ああっ…みずきっ!みずきっ…!!」
びゅるるっ!!
「くっ…!!」
びゅうっ!びゅうっ、びゅっ…
「うっ、う、くううっ…!」
和樹は愛しい女の名を叫ぶと、彼女の奥深くに挿入したまま…まるで爆竹が爆ぜる
かのように激しく射精した。濃厚な一撃を見舞った瞬間、きつく閉ざしたまぶたに
思わず感涙が滲む。
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン…
「はあっ、はあっ、はあっ…あ…ん、んぅ…」
勃起を極めたペニスは力強く脈動して、瑞希の子宮口にとめどなく精を浴びせた。
それこそ本気で彼女を身ごもらせるよう、なんの理性の干渉もなく…。
忘我のひとときが嵐のように過ぎ去ってから、和樹は惚けた表情でゆっくりと
現実に引き戻された。満ち足りた深呼吸を繰り返して、うっとりと射精の余韻に浸る。
我慢に我慢を強いていたぶん、その盛大さは和樹自身も驚くほどであった。勢いよく、
大量に噴出された生命液が深奥で溢れ返るため、亀頭の辺りがおもらしでもしたかの
ように熱い。久しぶりに味わった膣内射精の心地よさに、和樹はあごの震えを
抑えきれなくなってしまう。
…気持ちいい…こんな長い間イッてるみたいなの…初めてじゃねえか…?
骨までとろけそうな夢心地に恍惚となり、和樹は瑞希の腰を押さえつけたまま、
いつまでもいつまでも甘ったるい溜息を重ねた。だらしないとなじられるかもしれ
ないが、今は男として生まれたことがひたすらに嬉しい。
和樹も膣内射精自体は何度か経験があったが、それでもここまでの充足感や達成感を
得たのは初めてであった。熔け合ったかのような一体感があまりに心地良く、もうこの
ままずっと挿入していたいような身勝手すら湧いてくる。心ゆくまで射精して本懐を
遂げたはずのペニスも、ヌルンヌルンの膣内で萎縮することを知らない。余韻が染み
ついてしまったかのようだ。
そんな和樹に思いきり精を注ぎ込まれた瑞希も…ぐったりと枕を抱き締め、女と
しての悦びにその身を酔わせていた。
エクスタシーを迎えた瞬間の法悦はいまだに意識を朦朧とさせており、瑞希の
涙目はうつろなまま焦点が定まっていない。胸の中をいっぱいに満たしているのは、
和樹に対する愛しさと、気持ちいいという感覚だけである。他に何も考えられないし、
何もできない。身体は不規則な深呼吸を繰り返し、勃起したままの和樹を逃さぬよう
キツキツに締め上げるのみだ。
瑞希が達した法悦の境地には、まさに桃源郷の享楽があった。キスやクリトリスで
登り詰めた高みとはまるきり比較にならない。男であれば精神崩壊を免れない快感の
大渦に中枢を灼かれ、身体中から心地の良い汗が出てくる。フワフワとした高揚感は、
スポーツを終えた後の爽快感にも酷似していた。
「みずき…」
「あっ…ん…んんっ…」
とはいえ、いつまでも繋がったまま余韻に浸っているわけにはいかない。
和樹は小声で呼びかけてから、両手で瑞希の尻を突き放すようにして…窮屈な
膣内からゆっくりとペニスを引き抜いていった。無意識下ではあるはずだが、力任せ
に締め付けているため抜き去るのも一苦労だ。
ぬるっ…ぬ、ぬぬぬっ…ぬるんっ…ぶっ、ぷぶっ…
長大な幹が露出し、ツヤツヤの先端が抜け出た途端…瑞希の膣口からささやかな
空気音が漏れる。それと同時に、混ざり合った二人の雫が少しだけ飛沫いたのだが…
これは瑞希の締め付け具合が抜群であるためだ。情熱を心ゆくまで燃やしたピストンの
内部は、ほとんど密封状態になっていたのである。
…こんなちっちゃい穴に、全部入ってたんだよな…
露わとなった瑞希の恥部を見て、和樹は生唾を飲み込みながらそう感心する。
膣内から抜き去ったペニスは命の匂いをぷんぷんさせながら、まだ物足りないと
ばかりに伸び上がっているので…和樹はなんとなく右手でしごき、セックスの名残を
惜しんでみた。ふやけてしまいそうなくらいにヌルヌルであるため、普通のマスター
ベーションよりもずっと華筒をイメージすることができる。
「…っと、なにやってんだオレ…ほら瑞希、横になれよ…」
「うん…」
ほかほかと湯気が出そうな瑞希の卑裂に心を奪われ、和樹は思わず右手の動きを
速くしていた。慌ててかぶりを振って我を取り戻し、ペチペチ尻を叩いて瑞希を促す。
少しずつ意識が回復してきた瑞希も言葉少なにうなづくと、そのままころんと
寝転がった。目を伏せてシーツに頬摺りひとつ、はふ…と安堵の溜息を吐く。
そんな瑞希に枕をあてがってから、和樹はベッドラックに手を伸ばし、ティッシュ
ペーパーを数枚無造作にむしり取った。疲れ切った恋人へのアフターケアのためである。
さわっ、さわっ、さわっ…ひちょっ…
「…瑞希?」
愛液でべちょべちょの太ももを拭い、愛し合った証が漏れ出てくる真央に辿り
着いたところで…瑞希は右手でそれを制してきた。和樹が何気なく見下ろすと、瑞希は
愛くるしい美少女の笑みでふるふるとかぶりを振る。
「もう、このままでいいから…ね、和樹…ぎゅってして…」
「…わかった。」
そうねだられて断ることにはなんの意味も無い。和樹はティッシュの束をゴミ箱に
放ると、瑞希と向かい合うように並んで横たわった。枕の下端に右腕を忍ばせて腕枕を
用意すると、早速瑞希はすりすりと頬摺りしてお気に入りのポジションをまさぐる。
瑞希が落ち着いたところで、和樹は右手で彼女の頭を…左手で腰を抱き寄せた。
瑞希は足元に追いやっていた毛布をつま先で引き寄せ、丁寧に覆いかけてから和樹に
すがりついてゆく。
ぴったりと胸を寄り添わせ、前髪が触れ合ったところで…二人は幸せでいっぱいの
溜息を吐いた。愛し合った余韻と抱き合うぬくもりが融和し、疲れた身体に心地良い。
「…こんな感じ、なんだか素敵過ぎて…ちょっとごめん、泣けてきちゃった…」
「ふふ、それって嬉し泣き…だよな?言っとくけど、オレはこんな感じ嫌いじゃないぜ?」
「そ、そりゃああたしだって嫌いじゃない…てゆうかこんな感じ、すごく好きだけど…
ああん、なんか照れくさいよ…。照れくさいけど…でも、ずうっとこのままでいたい…」
「そうだな…。思いっきりエッチして、そのまま抱き合って寝るなんて…きっと恋人
どうしなら誰もが望むことなんだろうけど、それってつまり、最高だからだろうしな…」
汗ばむ肌を寄せ合いながら、二人は幸福感に浮かされつつおしゃべりを楽しむ。
こうして素肌を重ねているだけでも、胸に満ちてくる愛しさで気持ちが和んだ。
恥もなにもなく愛し合った後だけに、開放感も清々しいほどである。普段は照れ
くさくてできないことも、今だからこそ躊躇わずせがむことができる。瑞希は先程
から和樹の腕枕に頬摺りしきりだ。
「ねぇ和樹…眠くなるまで、もっと甘えていい…?」
「ああ、好きなだけ甘えればいい…。ずっとこうしててやるからさ。」
「えへへ…だったらもっと強く抱いて…それで、キスして…」
「おう…」
ちゅっ…ちゅっ、ちゅっ…
思いのままにおねだりを続けるしおらしい瑞希に、和樹はますます惚れ込んでゆく。
無防備に差し出される唇を塞ぎ、ついばみ、たわませて…愛しさに比例する接吻欲を
互いになだめ合った。キスしたままつま先でもじゃれあって、二人自然なままに
長い脚を絡める。
「和樹…明日起きたら、一緒にシャワー浴びよう?それからご飯食べて…シーツとかの
洗濯も手伝ってほしいな…ね、いいでしょ?少しでも二人っきりでいたいし…」
「だったら…シャワーの前にもう一回って…ダメか?」
「…」
「瑞希…?もしかして、怒った?」
「…そんなこと、今から約束できないわよ…朝になってみなきゃ…」
ちゅっ…ちゅむ、ちゅむっ…ちゅっ…
和樹の欲張りな申し出に即答することなく、瑞希は慎ましやかに言葉を選んだ。
とはいえ少なからず惹かれるものがあるのか、瑞希はおしゃべりしながら積極的に
唇を押し当ててくる。今から約束できないと言いながら、今から和樹をその気にさせる
つもりであるかのようだ。寝付く前に第二ラウンドを挑んでいるようにもみえる。
しかし和樹は、ようやく萎縮してきたペニスに再び愛欲を充填するようなことは
しなかった。腕枕している右手で瑞希の頭をかいぐりして、恥じらって舞い上がる
彼女を鎮める。
朝までに体力気力を回復させておけば、もしそうなったとしてもあらためて全力で
挑むことができる。同棲しているわけだから、慌てる必要はどこにもない。愛し合う
きっかけはそこかしこで見つけることができるだろう。
「だったら…早く朝になるように、もう寝ようぜ?」
「う、うん…おやすみ、和樹…」
「おやすみ、瑞希…」
夜の挨拶を交わしてしまえば、それで二人はすぐに夢うつつとなる。愛し合った
疲労感は実に心地良く、朝までぐっすりと眠れそうだ。
惹かれ合っている恋人の胸に抱かれていればなおのことである。至上の安らぎに
包まれたまま、夢の中でもイチャイチャできるだろう。
そんな期待を抱きながら、まどろみに落ちていった二人はやがて、静かに寝息を
立て始める。
静まり返った室内では、消し忘れられたスタンドだけがほんわりと灯り…仲睦まじく
寄り添う二人を暖かく見守るのであった。
END
HOME